初めての同人ボードゲーム制作 - 予算と製造工程の基礎知識

「ボードゲームを作りたいけど、何から始めればいいの?」
「全部でいくらかかるの?」
「どれくらいの期間が必要?」
初めて同人ボードゲームを制作する際、こうした疑問を持つのは当然です。
この記事では、ボードゲーム制作の全体像を初心者向けに解説します。構成要素、予算感、製造工程、スケジュールまで、これを読めば制作の全体像が掴めます。
- ボードゲームの構成要素と各パーツの役割
- 各要素の製造方法と相場
- 100部制作の予算シミュレーション
- 製造工程のタイムライン
- 初心者が最初に決めるべきこと
ボードゲームの構成要素
一般的なボードゲームは、以下の要素で構成されています。
1. ゲームボード
プレイヤーが駒を動かすフィールド。紙製が一般的です。
- サイズ:A3サイズ(297mm × 420mm)が標準的
- 製法:印刷所に発注(オフセット印刷またはオンデマンド印刷)
- 相場:1枚あたり200〜500円(部数により変動)
2. カード
アクション、イベント、リソースなどを表現するカード。
- サイズ:トレーディングカードサイズ(63mm × 88mm)が一般的
- 製法:印刷所に発注
- 相場:1デッキ(50枚)あたり500〜1,000円
3. 駒(コマ)
プレイヤーやリソースを表現する立体的なパーツ。
- 製法:3Dプリント、射出成形、木製など
- 相場:3Dプリント(PLA)で1個あたり50〜100円
4. 説明書(ルールブック)
ゲームのルールを説明する冊子。
- サイズ:A5サイズが一般的
- 製法:印刷所に発注(中綴じ製本)
- 相場:1冊あたり100〜300円(ページ数により変動)
5. パッケージ(箱)
ゲーム全体を収納する箱。
- 製法:箱製作業者に発注、または既製品の箱を利用
- 相場:オリジナル箱で1個あたり300〜800円、既製品なら100〜300円
各要素の製造方法と相場
各要素の製造方法と、一般的な価格帯を表にまとめました。
要素 | 製造方法 | 相場(1個あたり) | 備考 |
---|---|---|---|
ゲームボード | 印刷所(オフセット・オンデマンド) | 200〜500円 | 部数が多いほど単価が下がる |
カード(50枚) | 印刷所(カード印刷) | 500〜1,000円 | カードスリーブも検討 |
駒(1個) | 3Dプリント(PLA) | 50〜100円 | 2色使いは単価2倍 |
説明書 | 印刷所(中綴じ製本) | 100〜300円 | ページ数で変動 |
パッケージ箱 | 箱製作業者 or 既製品 | 100〜800円 | 既製品なら安価 |
※価格は目安です。業者や部数、仕様により変動します。
100部制作の予算シミュレーション
初めての制作で、100部を製作する場合の予算例をシミュレーションしてみましょう。
ゲーム仕様例
- ゲームボード:A3サイズ 1枚
- カード:50枚
- 駒:プレイヤーコマ4色×5個=20個、リソースコマ30個、合計50個
- 説明書:A5サイズ 8ページ
- パッケージ:既製品の箱を利用
コスト計算
要素 | 単価 | 数量 | 小計 |
---|---|---|---|
ゲームボード | 300円 | 100枚 | 30,000円 |
カード | 600円 | 100デッキ | 60,000円 |
駒(50個/ゲーム) | 50円 | 5,000個 | 250,000円 |
説明書 | 150円 | 100冊 | 15,000円 |
パッケージ箱 | 200円 | 100個 | 20,000円 |
合計 | 375,000円 |
1ゲームあたりの製造コスト:3,750円
これに、デザイン費用(駒の3Dモデリング代など)、配送費、イベント参加費などが加わります。
- 駒の個数を減らす(50個 → 30個など)
- 既製品の箱を使う(オリジナル箱は高額)
- カード枚数を減らす(50枚 → 30枚など)
- 少部数から始める(100部 → 50部)
製造工程のタイムライン
ボードゲーム制作には、どれくらいの期間が必要でしょうか?
一般的なタイムラインをご紹介します。
ステップ1:企画・ルール設計(1〜2ヶ月)
ゲームのコンセプト、ルール、バランス調整を行います。この段階でテストプレイを繰り返し、面白さを確認します。
ステップ2:デザイン・グラフィック制作(1〜2ヶ月)
ボードのデザイン、カードのイラスト、駒の3Dモデル、説明書のレイアウトを作成します。外注する場合は業者の選定も含みます。
ステップ3:見積もり・発注(2〜4週間)
各パーツの製造業者に見積もりを依頼し、比較検討して発注します。駒は2〜3週間、印刷物は1〜2週間が一般的な納期です。
ステップ4:製造期間(2〜4週間)
各パーツが製造されます。駒(3Dプリント)は2〜3週間、ボード・カード印刷は1〜2週間が目安です。
ステップ5:納品・検品・組み立て(1〜2週間)
納品された各パーツを検品し、1ゲームずつ組み立てます。100ゲーム分の組み立ては意外と時間がかかります。
ステップ6:最終テストプレイ(1週間)
完成品で最終テストプレイを行い、ルールブックの誤字脱字、駒の不具合などを確認します。
トータル期間:約4〜6ヶ月
初めての制作では、想定外のトラブルも起こりやすいため、イベント出展の6ヶ月前から準備を始めるのが理想的です。
初心者が最初に決めるべきこと
1. ゲームのコンセプトとターゲット層
「誰に」「どんな体験」を提供したいのかを明確にします。
- ファミリー向けの軽いゲーム
- ゲーマー向けの戦略的なゲーム
- パーティーゲーム
2. 予算の上限
どれくらいの予算を投資できるか決めます。
- 10万円未満:少部数(30〜50部)、駒を最小限に
- 20〜30万円:標準的(100部程度)
- 50万円以上:本格的な製作、高品質パーツ
3. 販売目標と回収計画
何部売れば黒字化できるかを計算します。
例:
- 製造コスト:30万円(100部)
- 1個あたり:3,000円
- 販売価格:5,000円
- 利益:2,000円/個
- 損益分岐点:150個販売で黒字化(追加発注が必要)
4. スケジュールの設定
出展したいイベントから逆算してスケジュールを組みます。
例:ゲームマーケット2025秋(11月)出展の場合
- 5月:企画・ルール設計開始
- 7月:デザイン制作開始
- 8月:見積もり・発注
- 9月:製造期間
- 10月:納品・組み立て・最終確認
- 11月:イベント出展
駒の製作で迷っている方へ
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初めての制作でも、丁寧にサポートします。
✅ 100個10,000円〜
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まとめ:計画的に進めれば初心者でも制作できる
同人ボードゲーム制作は、計画的に進めれば初心者でも実現可能です。
成功のポイント:
- 全体の構成要素と予算を把握する
- スケジュールを逆算して余裕を持たせる
- 最初は少部数(50〜100部)から始める
- コスト削減できる部分を見極める
まずは小規模から始めて、評判が良ければ追加製作する戦略がおすすめです。